泉大津市助松町で散水ホースの収納ボックスに潜むアシナガバチを駆除しました。
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母の勇気と、車の下の伏兵――泉大津市、散水ホースの要塞戦と母性の記録
第一章:受話器の向こうの悲鳴と、母の決死の行動
「【家の110番】さんですか? 泉大津市なんですが……ハチの駆除はお願いできますか?」
受話器の向こうから聞こえてきたのは、ちょっと慌てた若い女性の声だった。
「 庭のホースからたくさんのハチが出てきたので、慌ててゴミ袋を被せたんです。そしたらものすごい勢いでしつこく追っかけられて……!」
その言葉を聞いた瞬間、私の背筋に鳥肌が立った。
「ゴミ袋を被せたんですか!? 奥様、ご自身がですか!? 大丈夫ですか、刺されなかったんですか!?」
思わず、矢継ぎ早に問い返してしまっていた。
「刺されなかったです……もうビックリして、慌てて家の中に逃げ込みました。それよりも、これから帰ってくる子供たちが心配で……! 今すぐに駆除に来ていただくことは可能でしょうか……!」
「分かりました。すぐに行きます! 20分で到着しますので、絶対に外には出ず、家の中でじっと待機していてください!」
私は即座に道具を積み込み、泉大津市の現場に向けて車を急発進させた。
第二章:牙をむくホースドラムと、奇跡の無傷






現場に到着し、車を降りると、すでに異様な空気が漂っていた。
玄関ドアの周辺を、アシナガバチが飛び回っている。完全に臨戦態勢に入っているようだ。私が近づくと、まるで敵とみなしたかのように一匹が威嚇するように突進してきた。私はとっさに身をかわし、わずかな隙を突いて玄関内へと滑り込んだ。
出迎えてくれた奥様は、表情がこわばっていた。
事情を聞けば、古くなって使い物にならなくなった庭の散水ホースを処分しようと、そのドラムに手をかけた瞬間、中から大量のアシナガバチが飛び出してきたという。
「子供たちが刺されたら大変だ」と恐怖に震えながらも、近くにあったゴミ袋を被せ、上から重しを置いて封じ込めようとしたところ、怒り狂ったハチたちに執拗に追いかけられ、慌てて家の中に逃げ込んだとのことだった。
「奥様、よく無事でいられましたね……。一歩間違えれば、大変なことになっていましたよ」
彼女は生きた心地がしなかったと、力なく胸をなで下ろした。
奥様は虫が苦手で、ましてハチなどは見ただけで足がすくむほど怖いという、だが子を想う親心というものはそんな恐怖を乗り越えてまで、危険に立ち向かうのだと母性の強さに敬服した。
早速、駆除の準備に取り掛かる。
問題の散水ホースドラムは、玄関のすぐ横に無造作に転がっていた。彼女が慌てて被せたゴミ袋には数か所に隙間があり、そこから大半のハチがすでに外へ逃げ出しているかもしれない。
今の状態から、改めて新しい養生シートを被せ直すメリットは少ない。むしろ彼女が被せてくれたそのゴミ袋を利用すれば、十分に密閉効果を期待できる。私はそのままで、ドラムの隙間から内部へ向けて強力な薬剤を一気に噴射した。
「出てこい……!」
予想通り、薬液に驚いたアシナガバチたちが隙間から次々と這い出てくるが、私はその瞬間を逃さず、次々と狙い撃ちにして地面へと落下させていった。
第三章:潜んでいた「第二の巣」と、車の下の伏兵
十分に安全を確認してから、ドラムの中に残っていた古いホースを慎重に引っ張り出す。
「……ん?」
私は思わず手を止めた。
ホースを引き抜いたその奥から、ゴロンと、もう一つの巣が転がり出てきたのだ。それも、結構大きな巣だった。
こんな狭く薄暗い散水ホースのドラムの中に、二つもの巣が寄り添うように営巣されていたのだ。
――あの時、奥様がパニックになりながらもゴミ袋を被せた際、よくぞ一箇所も刺されず無事でいられたものだ。まさに奇跡としか言いようのない幸運だった。
しかし、巣が二つもある割には、飛び出してきたハチの数がやはり少ない気がする、隙間から逃げ出したのだろう。
ふと嫌な予感がよぎり、私は軒先に停められていた車の下を、懐中電灯でそっと覗き込んだ。
「……やっぱりいたか」
車のシャシーやタイヤの陰に、15、6匹ほどのアシナガバチが身を寄せ合うようにビッシリへばりついていた。先ほど奥様がゴミ袋を被せたときの衝撃と恐怖で、行き場を失ったハチたちが避難していたのだ。
私は逃がさぬよう、その一団に向けて一気に薬剤を噴射し、完全に鎮圧した。
しかし、戦いはこれで終わりではない。
日中に狩りへ出かけていた働きバチたちが、自分の城が奪われたとも知らずに次々と舞い戻ってくる、異変に気付き餌を咥えたまま、巣があったはずの空間をうろつき、そして執拗に飛び回るハチたちの姿を見ると、胸が締め付けられるような切なさを覚える。だが、ここで情けをかけてはならない。庭で無邪気に遊ぶ子供たちの安全を守るため、私は鬼になって捕獲網を振るい続けた。
額から滝のように流れる汗を手の甲で拭いながら、およそ1時間にわたる戻りバチとの孤独な格闘を繰り広げた。
第四章:母たちの安堵と、プロとしての使命



やがて戻りバチの数もめっきり減り、玄関先はようやく本当の平穏を取り戻した。
ギラギラと照りつける真夏の太陽が、体力を容赦なく奪っていく。全身の水分が持っていかれるような暑さの中、私はこまめに休憩を挟み、水分を補給しながら息を整えた。
しかし、まだ仕事は終わっていない。他に近くで営巣されていないかを確認するため、家の周辺をしらみつぶしに調査することにした。
室外機、給湯器の裏、物置、換気扇の通気口、雨戸の下、そして軒下。怪しげな死角を一つ残らずチェックしていく。幸い、これ以上の新たな巣は見当たらなかった。
「今、やれるだけのことはすべてやった」
私は道具をまとめ、家の中で待機していた奥様に駆除完了の報告を入れた。
奥の部屋から、お母様もホッとした面持ちで出てこられて、「本当にすぐ来ていただいて……助かりました。ありがとうございます!」と、何度も頭を下げて喜んでくださった。
「お母様、奥様、まずはこれで安全が確保できました。ただ、一つだけ気をつけていただきたいのが『戻りバチ』の存在です。どんなに優れたプロの業者であっても、日中に外出している戻りバチをその場で完全に根絶することは不可能です。夕方になって涼しくなると、また元の場所へ帰ろうと戻ってくる可能性がありますから、ここ2、3日は十分にご注意ください」
私はただ依頼された作業をこなすだけでなく、今後同じような危険に遭わないために、ハチの生態や、見つけた場合の対処法について丁寧に説明した。
ただ「駆除して終わり」にするのではなく、お客様自身が知識を持ち、身を守れるようになることこそが重要だと私は信じている。
私の説明を聞き、お母様は深くうなずきながらこう言った。
「知れば知るほど、今までハチに対してどれほど無知で、どれほど危険なことをしていたのか……本当に勉強になりました。これからは、見かけてもむやみに近づいたりせず、すぐにプロにお願いしますね」
すべての作業を終え、私は車に乗り込んだ。
車内のエアコンの冷気が、汗でびしょ濡れになった火照った身体に心地よく染み渡る。
外を見れば、真夏の太陽はますます過酷さを増し、ギラギラとアスファルトを照りつけていた。
「今日はこの後、どんな闘いが待っているのだろう……」
しかし、私の心には迷いはなかった。来るべき次なる現場に向けて、私はハンドルを握る手にぐっと力を込め、再び車を発進させた。
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