和泉市小田町 新築軒下 アシナガバチの巣 駆除

軒下に作られたアシナガバチの巣

和泉市小田町でアシナガバチの駆除をしました。
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目次

タイトル:夜の静寂を裂くSOSと、全神経を懸けた「一か八か」の空中戦――和泉市、極限のバランス駆除

第一章:湯船の泡が消え去った、夜20時の急報

夜の8時を大きく回り、心地よい疲労感に包まれながらようやく自宅の風呂に体を沈めていた。

一日の張り詰めた神経がゆっくりと解きほぐされ、湯船の中で思わずウトウトとまどろみかけていたその時、脱衣所に放り出しておいた携帯電話の電子音が、静かな夜の空気を鋭く引き裂いた。

「……っ」

慌てて飛び起き、ずぶ濡れのままバスタオルを腰に巻きつけて脱衣所へ駆け込み、ディスプレイを見る。着信時刻は夜の8時を過ぎていた。

電話に出ると、受話器の向こうから男性の切羽詰まった声が飛び込んできた。

「こんな夜遅くに本当にすみません……! 実は、2階の軒下にハチの巣ができているみたいなんです。この時間じゃ無理かもしれませんが、最短でいつ頃駆除に来ていただけるでしょうか……?」

場所を尋ねると、和泉市内の住宅街だという。私の事務所から車でわずか20分ほどの、まさに目と鼻の先の距離だった。

「分かりました。夜間ですが、今からすぐに向かいます!」

即座にそう答えると、男性は少しホッとしたような、しかしすぐに申し訳なさそうな声色になってこう言った。

「ありがとうございます……! ただ、本当に駆除できるかどうか……。実は下に大きなカーポートがあって、普通のハシゴは立てられないと思うんです」

――カーポートが障害になり、下の地面からはハシゴが立てられない。

それならば、2階の窓から身を乗り出してアプローチすればいい。一瞬そう頭をよぎったが、男性の次の言葉が私の思考を凍りつかせた。

「それに……2階の窓は『はめ込み式(FIX窓)』になっていて、そもそも開けることができないんです」

その言葉に、私はガツンと頭を殴られたような衝撃を受けた。

1階からはカーポートが邪魔ではしごがかけられない。2階からは窓が開かないためアプローチ不能。完全に四面楚歌の状況だった。

「果たして、本当に駆除できるのか……?」

先ほどまで湯船の中で味わっていた至福の解放感は、一瞬にして凍てつくような極度の緊張感へと塗り替わっていった。しかし、迷っている暇はない。「できるかどうかは、現場を見てから判断するしかない」私は着替えを済ませ、資材を積み込んで夜の闇へと飛び出した。

第二章:家族の期待と、見えない恐怖の壁

現場に到着すると、ご主人様だけでなく、奥様、そして小さなお子さんまでご家族総出で私を待っていてくださった。

車から降りるなり、ご主人様が申し訳なさそうに頭を下げた。

「こんな遅い時間に、しかもダメ元でお電話したのに……本当に来ていただけるなんて感謝してもしきれません。助かります……。あそこなんです。ハチの巣があるのは……。果たして、あんな場所、駆除できるもんでしょうか?」

指さされた先を見上げると、絶句せざるを得なかった。

ご主人様が言う通り、巣の真下には真新しい大きなカーポートの屋根が張り出しており、地面から真っ直ぐハシゴを立てかけることは物理的に不可能だった。さらに、頼みの綱であるはずの2階の窓は、パッキンでガッチリと固定されたはめ込み式のガラス窓で、微動だにしない。

「おじさん! あれ、僕が見つけたんやで!」

ふと足元を見ると、さっきから誇らしげに胸を張っている小さな男の子がいた。

この子はきっと、誰よりも早く危険な巣を見つけたことをお父さんやお母さんに褒められ、そして私が来てくれたことで「我が家のヒーロー」にでもなったような誇らしい気持ちで、ずっと待っていてくれたのだろう。

私はしゃがみ込み、彼の頭を優しく撫でた。

「ぼく、よくやったなぁ! 家族みんなを守ったヒーローやで、本当にえらいぞ!」

私の言葉に、男の子は満面の笑みを浮かべ、満足げにパタパタと家の中へと駆けて戻っていった。子どもたちの純真無垢な笑顔を見ると、微笑ましくなる。この子たちの日常と安全を守るためなら、どんな難局であっても逃げ出すわけにはいかない。

しかし、現実は厳しい。改めて壁面をじっくりと観察する。

建物の外壁面は一面の平らな壁ではなく、室内にある暖炉の煙を屋根の上へと逃がすための排気経路(チムニー構造)の部分だけが、1階から2階へと突き通るように「凸形」に外側へ出っ張っていた。屋根の上にはおそらく煙突が突き出しているのだろう。

――この凸形の出っ張り部分を利用すれば、ハシゴをかけられないことはない。しかし、固定するフックや安定した足場は一切ない。

もしハシゴをかけたとしても、半身を大きく乗り出して片手を精一杯伸ばさなければ、狙いの巣には届かない。その時、体重がわずかでも右側に偏ってしまえば、固定されていないハシゴごと下のカーポートへと真っ逆さまに墜落する危険が十分に――いや、確実につきまとっていた。

私の深刻な表情を察したのだろう、ご主人様が気遣うように言った。

「中山さん……無理を承知でお願いしていましたが、やっぱり危険すぎますよね。ダメなら仕方ありませんので、どうか決して無理はなさらないでくださいね」

その優しい言葉が、かえって私の背中を押した。諦める口実を求めるのではなく、プロとしての限界に挑むべきだという声が心の底で響く。

私はかつて、豊能郡の高級別荘地で挑んだ、あの冷や汗の出るような高所駆除の現場を思い出していた。あの時も、現場を見た瞬間はあまりの危険さに気持ちが折れかけ、「今回は辞退しようか」と本気で悩んだのだ。しかし、「やる前から諦めるな。ベストを尽くし、どうしてもダメならその時に潔く撤退すればいい」と覚悟を決めて挑み、見事にやり遂げた。

あの時胸に刻んだ「とりあえずやってみる、極限まで挑戦する」という魂が、再び全身の血を沸騰させた。

「ご主人様、奥様。……大丈夫です、やりましょう。危険ですが、私に方法があります」

第三章:命を削る1センチ――夜空に浮かぶ空中戦

そうと決まれば、迷っている時間はない。

私は車からハシゴを下ろし、静まり返った夜の住宅街で、慎重にセッティングを開始した。

狙うのは、1階から2階へと突き通る凸形の排気経路。その「右端ギリギリいっぱいのスペース」に、ハシゴの先端を当てがう。

足元は暗く、頼りはヘルメットに装着したヘッドライトの光だけだ。

ハシゴに足をかけ、一段、また一段と登っていくにつれて、全身の筋肉が緊張でこわばっていく。

――もし、この足場から体重移動のミスでわずか1センチでも右にズレたら、バランスは一瞬で崩れ、そのまま下のカーポートの屋根へと滑り落ちる。命はないかもしれない。

真夏の夜風が吹き抜ける中、額から冷や汗がツーと流れ落ち、目に入ってしみた。

わずかなハシゴのきしみ音や、自分の心臓の鼓動さえもが大きく響く。私は微小なバランスの変化すら逃すまいと、全身の全神経をその足の裏と手の平に集中させた。

――到達した。

ハシゴの最上段付近。ここからが真の勝負だ。

壁面に固定されたものは何もない。不安定なハシゴの上で、私は片手でしっかりと体を支え、もう片方の手で殺虫スプレーを構えた。

ヘッドライトの光を頼りに巣に目を凝らすと、そこには想定外の光景があった。

今まさに標的となっている巣の真横に、過去にアシナガバチが作り上げ、やがて放棄したであろう「古い巣の房の付け根(痕跡)」が、コンクリートの壁面に頑固にへばりついて残されていた。この場所は、何世代にもわたってハチたちにとって最高の営巣スポットとして愛されてきたに違いない。

新しい巣本体は何とか手が届く位置にあるが、その古い土台の痕跡はさらに奥まった、ギリギリの限界点に位置している。きれいに撤去できるかどうか、やってみなければ分からない。

だが、まずは目の前で威嚇する生きているアシナガバチの群れを沈黙させることが先決だ。

完全に片手のみでの作業となるため、あらかじめ網を被せてから薬剤を噴射するという「二刀流」の基本動作が使えない。つまり、一発勝負のノーチャンス・勝負だ。

私は息を止め、ハチたちが驚いて飛び立つ隙を与えないよう、広角噴射の角度と薬剤の飛距離を頭の中で一瞬にして計算した。

「……行くぞ」

引き金を一気に引き絞る。

狙いは寸分の狂いもなく的中した。強力な薬剤の霧が、逃げ場のない隙間に一瞬にして充満する。不意を突かれたアシナガバチたちは、反撃する暇すら与えられず、次々と痺れを切らしたようにバラバラと地上へ落下していった。

第一段階の制圧完了。しかし、気は抜けない。

続いて、巣本体の撤去と、壁面にこびりついた古い巣の房の付け根の回収だ。

ワイヤーブラシを手に取り、バランスを崩さないよう細心の注意を払いながら、時間をかけて少しずつ、壁面を撫でるように慎重に清掃していく。焦りは禁物だ。少しでも荒っぽく動けば、その反動で私は宙を舞うことになる。

何度も呼吸を整え、ミリ単位の作業を繰り返す。

最後に、再び同じ場所にハチたちが戻ってこないよう、予防の忌避剤を壁面全体にたっぷりと染み込ませた。すべての工程を終え、私はふぅと長く熱い息を吐き出した。

第四章:地上への帰還と、静かなる達成感

「今回も、無事に地上に帰ってこられた……」

両足の裏がしっかりと硬い地面を捉えた瞬間、全身を支配していた極限の緊張の糸がプツリと切れ、どっと疲労が押し寄せてきた。

しかし、まだ仕事は終わっていない。プロとして、周辺に他の隠れ家がないかを徹底的に調査する。

懐中電灯を片手に建物の周りを入念にサーチしていくと、1階の雨戸の横のわずかな隙間に、アシナガバチが「作りかけて途中で放棄した跡」を発見した。ここも見逃さず、綺麗に清掃した上で忌避剤を吹き付けておく。

これ以上の営巣跡や怪しい影はない。これで、すべての作業が完璧に完了した。

私は道具をまとめ、家の中で待っていてくれたご主人様の元へと戻った。

「お待たせしました。無事に、すべての巣と痕跡の撤去が完了しましたよ」

私の報告を聞いたご主人様は、我が目を疑うように目を見張り、そして心の底から安堵したような表情を浮かべた。

「え……? あの絶望的な場所を、本当にすべて綺麗にしてくれたんですか……!? すごい……本当にありがとうございます!」

奥様や、先ほどの男の子も顔を出し、家族全員が満面の笑みで私を労ってくれた。その温かい言葉と笑顔に触れた瞬間、先ほどまでの恐怖や冷や汗、極限の緊張感はすべて心地よい達成感へと昇華されていった。

夏の冷気が心地よく頬を撫でる。

「今度こそ、今夜こそゆっくりと温かいお風呂に入れるな……」

そんな心地よい安堵感を胸に、私は深く頭を下げてその現場を後にした。

真夏の暑い日中だけでなく、時にはこんな予測不能な夜間の難局であっても、求められれば私はいつでも最前線に立つ。家族の平穏な日常と、子供たちの無邪気な笑顔を守るために――私の戦いに、終わりはない。

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