阪南市自然田での樹木伐採格闘記です。
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樹木伐採格闘記!境界線を越えて伸び放題の隣接空き家、 リピーター様の温かいおもてなしに感動‼
第一章:3年の時を越えて響いた「あの日の声」
「もしもし……【家の110番】の中山さんですか? 以前、ハチの巣の駆除をしてもらった○○ですが、覚えていらっしゃいますか?」
電話の向こうから聞こえてきたそのお声を聞いた瞬間、私は思考を巡らせた。
「○○様……。申し訳ございません、どちらの○○様でいらっしゃいましたでしょうか……?」
お客様から大まかなご住所をお聞きしたその瞬間、私の脳裏には3年ほど前の記憶がまるで昨日のことのように鮮やかに蘇ってきた。
そう、あれは確か阪南市での現場だった。
2階の軒下に大きな黄色スズメバチの巣が作られており、わずかな隙間から屋根裏へも侵入しそうな一刻を争う状況だった。作業スペースが極めて狭く、ハシゴをほぼ垂直に近い危険な角度で架け渡して出入り口を封鎖しなければならなかった、あの冷や汗をかくような激闘の現場。あのとき、無事に駆除を終えた私に温かい笑顔を向けてくださったお客様のお顔が、パッと頭の中に浮かび上がった。
「思い出しました! 3年前に2階軒下の黄色スズメバチの巣を駆除させていただいた、あの時のお宅ですね!」
「よく覚えていてくださいました! 実はですね……隣の空き家なんですが、家主さんがいなくなってから草木がそのまま放置されてしまって、うちの敷地の方までどんどん伸びてきているんです。家主さんに連絡を取ったのですが一向に手入れされる気配がなくて……。はじめのうちは主人が自分で枝を切ったりしていたのですが、いよいよ自分たちでは手に負えなくなってしまって。また中山さんにお願いできないかと思って、ご相談のお電話をしたんです」
3年も前の古い記憶の私をふと思い出し、再び困ったときの頼りとしてこうして声をかけて下さる――業者として、これほどありがたく、胸が熱くなるお言葉が他にあるだろうか。
「もちろんです! すぐに状況をこの目で確かめにお伺いしますね」
事務所から車を走らせること約40〜50分。阪南市の懐かしい街並みを抜け、当時と変わらない目的地のお宅へと到着した。車を降りて見上げた瞬間、3年前の記憶と現在の景色がぴたりと重なり合った。
「お久しぶりです、中山さん!……あれ、なんだか少し痩せました?」
出迎えてくださった奥様が、気さくな笑顔でそう声をかけてくださる。
「いやぁ、今年は夏の猛暑が厳しいうえに連日の過酷な駆除作業が続いてしまって、すっかり痩せちゃいましたよ……!」
初めてお会いするお客様のような、初顔合わせの緊張感は一切ない。これぞ、リピーター様である顧客様のお宅に伺うときの、なんとも温かく心地よい空気がそこには流れていた。
第二章:放棄された空き家
まずは、トラブルの原因となっている隣の空き家の状態を詳しく確認させてもらうことにした。
その建物は、単に「もぬけの殻」として人が住んでいないというレベルではなく、かつて人が暮らしていた生活の気配が残されたまま、ある日突然誰もいなくなってしまったかのような、いわゆる「放棄」に近い物寂しい雰囲気を漂わせていた。ただ、家の入り口である門扉の前だけは、これ以上人が侵入しないようにと植木鉢が何段にも積み重ねられ、頑丈に塞がれている。
建物の主が不在となった今、人間が管理する手を失った庭の樹木たちは、誰に阻まれることもなく、むしろ生命力を爆発させるかのように生き生きと我が物顔で伸び放題に成長していた。
表通り側を見ると、鬱蒼と茂った枝葉の一部が公道の真上にまで大きくせり出し、道行く人の邪魔になるほどの巨大な日陰を作り出している。
しかし、一番深刻な問題は、依頼主であるお客様の敷地側への「侵食」だった。
お宅の駐車場にあるカーポートの屋根をすっぽりと覆い隠すように、隣の空き家の樹木から太い枝が何本も越境し、葉をボロボロと落としている。今はまだ夏だが、これが秋の季節を迎えれば、カーポートの屋根は落ち葉でいっぱいになるだろう、掃除が大変だ。
さらに、視線を建物の「裏手」へと向けてみると……そこには言葉を失うほどの光景が広がっていた。


なんと、隣家の2階のベランダから溢れんばかりに鬱蒼と繁茂したツル科の植物たちが、さらなる新しい新天地を求めて貪欲に触手を伸ばし、お客様の外壁をまるで蛇のように這い上がりながら、我が物顔で勢力を拡大し続けていたのだ。
「これは……想像以上に手強い相手ですね。後日、通常のハチ駆除道具一式に加えて、本格的な伐採・剪定用の機材をしっかりと積み込んで出直してきます!」
数日後、私は万全の準備を整えて再び阪南市の現場へと舞い戻った。
第三章:過酷を極める伐採と、温かいおもてなし


作業のスケジュールとしては、まずは表通りのカーポートに覆いかぶさるように伸びている樹木の伐採から片付けることにした。
幹の中央付近から放射線状に力強く枝分かれしている太い木々に対し、私は足場を固めてチェーンソーを構えた。小枝や邪魔な葉をあらかじめ処理しながら、太い枝を一本、また一本と力強く切り落としていく。
切断された枝が下に落ちる。本来であれば、私が一度チェーンソーのエンジンを止め、その都度自分で地面に降りて枝を片付け、またハシゴを登って……という作業を繰り返さなければならないため、かなりの時間と体力を使うところだった。
しかし、今回はご主人様が自ら進んで作業に加わってくださり、公道や敷地にこぼれ落ちた枝をかき集め、どんどんまとめて片付けて下さったのだ。ご主人様のサポートのおかげで、私の作業ペースはかなり早めることが出来た。
天気予報では、今日の午後の遅い時間から雨が降ると言っていた。それまでに、一番手ごわい大掛かりな作業はなんとしても終わらせておきたいところだ。
私は額の汗を拭いながら、短い休憩もそこそこに、次々とチェーンソーを唸らせて作業を進めていく。当初の目標通り、午前中のうちに表通りの樹木伐採を完璧に完了させることができた。
午前中のうちに最大の難所をクリアした私は、間髪入れず、そのまま裏手の「ツル科植物の排除作業」へと突入した。
私の事前の見立てでは、表の樹木伐採こそが一番の難所だと踏んでいたため、このペースであれば予定通り午後からの雨にも十分に間に合うはずだった。しかし、この後に待ち受けていたのは、私の予測を遥かに超える執念深いジャングルだった。


地面を見下ろすと、樹木と見紛うほどに太くねじれた何本もの「親ツル」が、地面からしっかりと栄養を吸い上げて大地にしがみついている。
「いくら末端の茂ったツルを刈り取ったところで、この元凶である親ツルを断ち切らなければ、雑草と同じですぐにまた復活してしまう。まずは全ての親ツルを根元から根絶やしにするぞ」
私は確認できるすべての親ツルをチェーンソーで豪快に切断していった。
そしていよいよ、問題の2階ベランダへとアルミのハシゴを架け、慎重に足場を登ってベランダへとアプローチした。
しかし……そこにあったのは、植物のレベルを超えた、まさに文字通り「ツルのジャングル」だった。
私は思わず絶句した。
何種類ものツルが幾重にも複雑に絡み合い、ベランダの空間を完全に塞ぎ、片腕さえも突っ込む隙間すら一切許さないほどの、鉄壁の要塞と化していたのだ。
さらに厄介なことに、こういう密生したツルに対しては、木を切るために作られた「チェーンソー」が全く使い物にならない。チェーンソーの鋭い刃は硬い幹や枝に対しては圧倒的な威力を発揮するが、柔軟で弾力のあるツルに対しては刃の高速回転の衝撃を巧みにいなしてしまい、逆に刃の隙間にツルの繊維が激しく絡みついて、瞬く間に回転を完全に停止させてしまうのだ。
「なるほど……これは手強いぞ。予想はしていたが、力技だけでは進めない厄介な相手だな」
私はすぐに判断を切り替え、チェーンソーを頑丈な剪定ばさみに持ち替えた。ここからは、機械の力ではなく、己の手と指先の感覚だけを頼りに地道に切り開いていくしか道はない。
一本、また一本とツルを太い根元からジョキジョキと断ち切っていく。
私の腕や指先の筋肉が次第にパンパンに張り詰め、ピリピリと痺れ始めてきた
そうして黙々と作業を続けるうちに、ようやく自分の身体が収まるほどのスペースが、ベランダの中に開き始めた頃、ご主人様が「お昼ごはん用意してますからどうぞ、休憩して下さい」と声をかけて下さった。
お金を頂いて作業をさせてもらっている上に、食事までご馳走になるなんて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
お言葉に甘えて頂くことにした、運ばれてきたのはカレーライス、私の大好物である、サラダにデザートまでついている、スパイスの効いた奥様手作りの本格的な味に思わず舌鼓を打った、あっという間に平らげてしまった。



食事のおもてなしで身体も充電できた、ここからはただひたすらツルと剪定ばさみとの一騎打ちだ、切っては引き寄せ、切っては引き千切る、この要領がつかめてくると、ペースが一気に速くなった、いい感じである。
第四章:ジャングルに潜む牙と、生まれ変わった「開拓地」
「この調子ならペースを取り戻せる、あともう少しだ……!」
そう心の中で気合を入れ直した、まさにその瞬間だった。
複雑に入り組んだツルの奥底から、突如として不気味な低い羽音とともに、10匹ほどのアシナガバチたちが一斉に怒り狂って飛び出し、私の周りを激しく乱舞し始めたのだ。
しかし、こういう予期せぬ事態への危機管理は、ベテランの私にとってすでに身体に染み付いたルーティーンである。私は慌てることなく、腰にぶら下げておいた専用の駆除用薬剤を素早く引き抜き、飛び交うアシナガバチの集団めがけて一気に薬剤を浴びせかけた。
まだこちらに対して十分な防衛体制を取る余裕すらなかったアシナガバチたちは、強力な薬剤の前に一瞬にして動きを止め、次々と地面へと落下していった。
「ふう……危ないところだった。油断大敵だな」
安全をしっかりと確認しながらさらに奥へと進んでいくと、今度はその絡み合うツルのジャングルの奥から、なんと過去に作られた「スズメバチの古巣」が2個もひっそりと姿を現した。






なるほど、この誰にも邪魔されない豊かな「ツルのジャングル」は、ハチたちにとっても雨風をしのげて外敵から身を隠せる、この上なく理想的な格好の営巣地になっていたというわけだ。
事前の徹底した危険予測が功を奏し、一箇所たりともハチに刺されることなく、すべての古巣の回収作業も無事に完了した。気がつけば、2階のベランダは、嘘のようにすっきりと片付けられ、「ツルのジャングル」から見違えるほど「綺麗な開拓地」へと生まれ変わっていた。


「ふぅ……これで、ようやく無事に終わった……!」
すべての作業の完了を告げ、私は下に降りて、奥様とご主人様と一緒に仕上がりの状態を確認していただいた。
「うわぁ……っ! ベランダが、すっかり綺麗さっぱり片付いてる! 本当に助かりました……! 中山さん、うちの周りは本当に色々ありますけど、これからも何か困ったことがあったら、ぜひ相談に乗ってくださいね!」
奥様とご主人様から、心からの感謝と労いのお言葉をいただいた瞬間、私の肉体的な疲労や筋肉の痺れは、まるで嘘のようにどこかへ吹き飛んでいき、感動で満たされていくのを感じた。
今回のこの過酷な伐採作業を、予定していた雨が降り出す前のタイムリミット通りに完璧に終えることができたのは、まぎれもなくご夫婦の温かいご支援とご協力があったからこそだった。
作業中の度重なる冷たい飲み物の差し入れ、思いがけないお昼ご飯のおもてなし、そして落ちた枝葉のテキパキとした回収作業――お客様からのその温かいお心遣いがあったからこそ、私は最後まで全力で走り抜けることができたのだ。こちらこそ、「本当にありがとうございました」と何度心の中で頭を下げたか分からない。
「また何かありましたら、いつでも気軽にお声がけくださいね!」
何にも代えがたい「ありがとう」という最高のご褒美の言葉を胸の奥にしっかりと刻み込み、私は温かなご夫婦が住む阪南市の街をあとにし、心地よい達成感を背負いながら次なる現場へと愛車を走らせた。
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