泉南市 企業様 クマバチ駆除

本社ウッドフェンスと看板
目次

ボーダーフェンスに無数の不気味なドリル孔! ― 「大工バチ」クマバチとの静かな戦いと、共生の知恵

第一章:4年の信頼と、本社からの「SOS」

泉南市に拠点を置く企業様から、一本の電話が入った。今から4年前、初めてハチの巣駆除の依頼を受けてからのお付き合いである。毎回私を指名して下さり本当にありがたい限りである。

本社を泉南市に置き、南大阪エリアから東は奈良方面にも支店や社員寮を持ち、関連企業も多数なので、毎年いろんな場所に駆除でお伺いしている。去年は関連企業の施設、一昨年は社員寮のハチの巣駆除であった。

「ご無沙汰してます、今回はどこの施設ですか?」と尋ねると、担当者様は困り果てた様子で答えた。

「中山さん、実は本社なんです、ついに本社もやられてしまいました、本社入り口の看板が掲げられている木製のフェンスなんです、一度見に来てくれませんか?巣というより『穴』が開いてて。そこから、黒くてデカいハチが出入りしてるんです」という事だ、木材に穴が開く、黒くて大きなハチ。

その特徴を聞いた瞬間、私の脳裏には特定の犯人が浮かんだ。クマバチだ。

別名を「大工バチ」。乾燥した木材を好み、まるで人間がドリルで施工したかのような精巧なトンネルを掘り進める彼らの仕業に違いない。

(※クマバチを詳しく知りたい方はこちらをクリック‼)

第二章:45個の「大工仕事」と、隠された真実

ドリル孔のような丸い穴
ドリル孔のような丸い穴
巣の場所をテーピングしていく。
巣の場所をテーピングしていく。
最終的には45箇所となった
最終的には45箇所となった

すぐに本社へ駆けつけると、担当者様が青ざめた顔で看板のあるフェンスへ案内してくれた。

お洒落な木製のボーダーフェンスに、看板が掲げられている。しかし、その足元や横の木材には、確かに「丸い穴」が点在していた。

「この前、ガリガリという音が聞こえてきて。よく見ると、太った真っ黒な奴らが次から次へと出入りしているんです。5個ほど穴があるんです……これ、猛毒を持った獰猛な肉食バチですよね? スズメバチより危険なんじゃないですか?」

担当者様の怯える声は、無理もない。

丸々と太った黒光りする巨体、空気を震わせる重低音の羽音、そして硬い木を削り出す強力な顎。どれを取っても、クマバチは「危険な刺客」としての威圧感を放っているからだ。

しかし残念ながらその怖いイメージはほとんど外れている。

「安心してください。この『大工バチ』ことクマバチは、見た目の怖さとは裏腹に、非常に温厚な性格です。彼らは植物の受粉を助けてくれる、自然界にはなくてはならない『ポリネーター(受粉媒介者)』、つまり立派な益虫なんですよ。こちらから手を出さない限り、襲ってくることはまずありません」

担当者様は少し驚いたように、「……本当ですか? いやいや、これ、危ないでしょう、にわかには信じられないです。それにこれだけ穴だらけにされると、建物の強度も心配で……それじゃあ中山さん、あとは宜しくお願いします」と言い残し、逃げるように事務所の中へ戻られた。

さて、ここからはプロの出番だ。

私は、フェンスの木材をくまなくチェックし始めた。

3……5……10……20……。

数えていくうちに、驚愕の事実が判明した。

35、40、そして45。

全部で45個もの穴が確認されたのだ。

「5個くらい」という当初の話とは桁が違った。ある一本の木材に至っては、内部がスカスカになるまでトンネルが掘り進められている。放置すれば、フェンス自体が崩壊してもおかしくない深刻な被害だった。

第三章:灼熱の埋め立て作業

穴の下には木くずが積もる
穴の下には木くずが積もる
出入り口をシリコンで塞ぐ
出入り口をシリコンで塞ぐ
駆除されたクマバチ
駆除されたクマバチ

炎天下の中、私は一穴ずつ丁寧な駆除作業を開始した。

巣穴の奥に潜む個体を薬剤で誘い出し、すべてを確実に仕留めていく。その後、シリコンコーキング材を使い、開けられた無数のドリル孔を一つずつ埋めていく。

「もし、この看板の土台が朽ち果てて倒れたら……」

そんな最悪のケースを想像しながら、私は黙々と45個の穴を塞いだ。

中には1メートルもの深さに達するトンネルもあり、彼らがどれほど情熱を注いでこの「住宅」を作っていたかが伺える。

防護服の中はサウナのような熱気だ。しかし、この一歩一歩の作業が、企業様の財産を守り、またクマバチたちの無駄な犠牲を防ぐことになる。

数時間に及ぶ作業が終わり、看板の周辺を綺麗に清掃し終えたときには、私の全身は汗でびしょ濡れになっていた。

第四章:ただ駆除するだけでは終わらせない

報告のため事務所を訪ねると、担当者様が2階の窓からずっと作業を見ていたようで、ドアを開けるなり深く頭を下げてくださった。

「中山さん、ありがとうございます。あの数……私には到底できません。本当に助かりました」

再びクマバチについての詳細を求められたため、私は彼らが「塗装されていない乾燥した木」を好む習性を解説した。

「今後も被害を防ぐなら、このフェンスにニスや専用塗料を塗るのが一番の予防になります。あるいは、根本的な解決策としてアルミ素材に変えるのも手です」

さらに、なぜ彼らがこれほど多くの穴を掘ってしまったのか、その背景にある「木材の管理」についても助言した。ただ穴を埋めて「はい終了」ではない。「二度と被害に遭わせないための環境作り」を伝えることまでが、私の仕事の流儀だ。

「さっそく会議で塗装の稟議をかけます。……それにしても、彼らがそんなに温厚なハチだとは知りませんでした。少し恐怖が薄れましたよ」

担当者様の表情から、霧が晴れるように不安が消えていくのを感じた。

ただ依頼された通りに駆除するだけでは、お客様はいつまでも「ハチ=悪魔」という恐怖に縛られたままだ。正しく怖がり、正しく対処する。その知識を提供して初めて、本当の安心がお客様のもとに届くのである。

結び:益虫との共生を見据えて

現場をあとにし、車に乗り込んでエンジンをかける。

看板を掲げたフェンスは、シリコンで塞がれ、今は静かだ。

クマバチは、私たちの身近にいる自然の一部だ。

彼らはシロアリのように建物を「食い尽くす」わけではないが、その旺盛な大工仕事は時に人の暮らしと衝突する。だからこそ、人間側が少しの工夫――定期的な塗装や素材の選定――を施すことで、彼らと一定の距離を保ちながら共生することは可能だ。

「もしまた穴が開いてしまったら、いつでも呼んでください」

そう伝えて現場を去る私の心には、お客様の安心した笑顔と、南大阪の風に揺れる木々のざわめきが心地よく残っていた。

ハチのスペシャリストとして、私はこれからも「駆除」のその先にある「安心と共生」を守り続けていく。

さあ、次はどんな現場が私を待っているだろうか。

今日もまた、【家の110番】として、南大阪の街を駆けていく。

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