河内長野市上原西町 2F軒下アシナガバチの巣駆除

アシナガバチに営巣された新築一戸建ての画像

河内長野市上原西町で新築の2F軒下アシナガバチの巣を駆除しました。
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目次

悲劇を繰り返さないために――河内長野市のピカピカの新築一戸建て、弱肉強食の裏で交錯する命のドラマ

第一章:新興住宅地に響く悲鳴と、繰り返される不安

真夏のジリジリと照りつける太陽が、まだアスファルトの匂いを残す真新しい街並みを包み込んでいた。

今回、私が向かったのは、大阪府の和歌山県境に位置する河内長野市。新興住宅地として開発が進む、見渡す限りの更地が広がるエリアだ。ポツリポツリと建ち並ぶ真新しい家々の中で、ご依頼をくださったご主人様のお宅も、まさに建って間もないピカピカの新築一戸建てだった。

お電話をいただいたのは、新婚のご主人様。受話器越しからも、その途方に暮れている様子がひしひしと伝わってきた。

「もしもし、そちらハチ駆除をされている【家の110番】さんで間違いないですか? 実は……去年の夏にハチの巣を作られてしまったんです。そのときは1階の壁だったので、自分で市販のスプレーを買ってきて何とか駆除したんですが……。今回はなんと、2階の軒下に作られてしまって。どうしてうちばかり、こんなに何度もハチに狙われるんでしょうか……?」

声を落とし、困り果てた様子の声色が胸を突く。

さらに、ご主人様はこうも付け加えた。

「それに今回は、2階の巣だけじゃなくて、なぜか1階の玄関ドアのあたりにもハチが群がっているんです。気持ち悪くて怖くて、ドアを開けるのもやっとの状態で……」

その言葉を聞いた瞬間、私の脳裏でいくつかのピースがカチリと音を立てて噛み合った。

「なるほど……。もしかすると、2階に作られた巣が破壊されたか、あるいはスズメバチに追われて、生き残ったハチたちが玄関ドアのほうへ避難してきている可能性がありますね」

「えっ……スズメバチに襲われた、ですか?」

「はい、現場を直接見てみないと断言はできませんが、十分あり得る話です。まずは私に状況を任せてください。すぐにそちらへ向かいます!」

私は道具の積み込みを確認し、河内長野市の現場へと車を走らせた。

車窓から流れる風景は、真新しい電柱と、これから家が建つであろう整地された土地ばかり。新しい生活のスタートを切るはずの場所で、ハチの恐怖に怯えなければならないご夫婦の心中を察すると、ハンドルを握る手に自然と力がこもった。

第二章:ピカピカの新築を守る、二段階の慎重なハシゴ掛け

2段掛けでハシゴをかける画像
2段掛けでハシゴをかける
傷防止のためにしっかりと養生をする画像
傷防止のためにしっかりと養生をする
軒下の静まり返ったアシナガバチの巣の画像
軒下の静まり返ったアシナガバチの巣

現場に到着すると、青い空の下に映える、ガルバリウム鋼板ですっきりと仕上げられたモダンな新築住宅が姿を現した。

庭先で待っていて下さったご主人様は、私の姿を見つけるとホッとしたような、しかし不安の抜けきらない表情で駆け寄ってきた。

「遠いところをわざわざありがとうございます。本当に困り果てていて……」

「お待たせいたしました! ご主人様、お怪我はありませんか?」

「はい、僕たちは家の中に避難していたので大丈夫ですが、いつ刺されるかと気が気じゃなくて……。どうかよろしくお願いします」

まずは現場の状況確認だ。

建物の外壁に沿って見上げると、確かに2階の軒下に、小さな子供のこぶしほどの大きさの巣がぽつんとぶら下がっているのが確認できた。周りには、1、2匹のアシナガバチが弱々しく、しかしどこか落ち着かない様子で飛び交っている。

私は腕を組みながら、建物の構造をじっくりと観察した。

このお宅は1階の屋根(下屋)が大きくせり出している設計になっているため、地上から直接2階の軒下へ長いハシゴを立てかけることは物理的に不可能な形状をしていた。

したがって、今回用いるのは「二段階式」の特殊なアプローチだ。まず地上から1階の屋根までメインのハシゴを安全にかけ、その1階屋根の上を慎重に移動して、さらにそこからサブのハシゴを2階の軒下へと継ぎ足して架け渡す必要がある。

しかも、ここは外壁も屋根もピカピカの新築ガルバリウム鋼板だ。

少しでもハシゴを滑らせたり、乱暴に扱ったりすれば、取り返しのつかない傷がついてしまう。さらに、作業員の足跡一つ、汚れ一つ残すことすら許されない極めてデリケートな現場である。

「傷はもちろん、汚れも絶対に付けないよう、完璧に養生して細心の注意を払いながら作業しますね」

私は気合を入れ直し、養生毛布や保護材をしっかりと準備して、1段階目のハシゴ掛けから慎重にスタートさせた。

第三章:放棄された巣と、目撃された「真犯人」

回収された巣の画像
回収された巣
首のちぎれた蛹の画像
首のちぎれた蛹(矢印)


息を殺し、1階の屋根を滑らないように足場を固め、そこから2階の軒下へと続くサブのハシゴをそっと立てかける。微動だにしない完璧なバランスを確認してから、私は防護服のなかで大きく息を吐き、一歩一歩、巣へと近づいていった。

巣の至近距離まで肉薄し、私は思わず動きを止めた。

「……これは……?」

そこにぶら下がっていたのは、お世辞にも活発とは言えない、異様なほど静まり返った巣だった。

働きバチの姿はほとんど見えず、主であるはずの女王バチの姿すらない。まるで、ハチたち自らがその場所を投げ出してしまったかのような、いわゆる「放棄された巣」の状態だったのだ。

「この巣、古巣か?ちょっと様子がおかしいな……」

その時だった。

巣の背後から、不気味な羽音とともに、まったく別の影が出てきた。

――スズメバチだ。

「やっぱりそうか……!」

私は反射的に捕獲網を伸ばそうとしたが、スズメバチの動きはあまりにも俊敏だった。私の気配を察知するやいなや、鋭い軌跡を描いて遥か彼方の青空へと飛び去っていった。

すべてが繋がった。

このアシナガバチの巣は、数日前からスズメバチの執拗な襲撃に遭い、蹂躙されてしまったのだ。なす術もなく仲間を殺され、あるいは巣を破壊されたアシナガバチの生き残りたちは、命からがら逃げ出し、身を隠すように1階の玄関ドアのあたりに群がっていたのである。

私は残された巣の撤去に取り掛かった。

巣をもぎ取り、専用の袋に回収しながら内部を検分して、私は胸が締め付けられるような光景を目撃した。

回収した巣にはかじられた痕跡があり、巣房には、首のない蛹の残骸がたった1匹、虚しく取り残されているだけだった。他の巣房はすべて綺麗にもぬけの殻になっていた。おそらく、中にいた幼虫たちはすべてスズメバチに引き抜かれ、肉団子にされて餌食にされてしまったのだろう。

「……自然界の掟とはいえ、あまりにも過酷すぎる……」

続いて私は1階へと戻り、玄関ドアの周辺に避難していたアシナガバチたちの駆除に取り掛かった。

強力な薬剤のシャワーが、逃げ場を失ったアシナガバチの群れに容赦なく降り注ぐ。飛び立つ間もなく、小さな命たちは無言のまま次々と地面へと落ちていった。

これほどまでに哀れな結末があるだろうか。

春の訪れとともに女王バチがたった一匹で巣作りを始め、わずか1年、いや1年にも満たない短い命のなかで、子孫繁栄のために懸命に働き、次の世代へ命を繋ぐために泥まみれになりながら餌を運び、育ててきた。その最中に強大な天敵であるスズメバチに襲われ、一番守りたかった我が子たちが目の前で奪われ、全滅させられた。

その絶望だけでも耐えがたい不幸のどん底であるというのに、命からがら逃げ延びた避難先で、今度は人間側の安全のために、1匹残らず薬剤によってその命を絶たれることになってしまった。

もし、このアシナガバチたちに人間と同じような言葉や豊かな感情があったなら、この理不尽な運命に対して何を思い、どんな風に絶望の声をあげただろうか。

テレビのニュースや映像で、大災害や不条理な苦しみに打ちひしがれる被災者の方々の姿を見るたびに胸が締め付けられるが、今日この新築の軒下で起きていたドラマもまた、人間と昆虫という違いこそあれ、絶望の深さや不幸の大きさにおいては大災害に匹敵するほどの悲劇なのではないか――そんな思いが頭をよぎった。

「次に生まれ変わることができたなら……今度は人にも、凶暴な天敵にも邪魔されることなく、穏やかで安全な場所で、誰にも脅かされず子孫を残せる場所で命を全うするんだよ……」

私は心の中で静かにそう呟きながら、哀れな巣の残骸と亡骸をそっと回収箱に収めた。

第四章:悲劇を繰り返さないための「祈り」と、私たちの役割

慎重にハシゴを外し、新築の美しさを傷つけていないことを隅々まで確認してから、私は地上へと降り立った。

道具を片付け、一息ついてから、ご主人様に今日の駆除が完了したことを報告した。

「ご主人様、お疲れ様でした。無事に駆除は完了いたしましたよ。そして……玄関周りにあんなにたくさんのハチが避難していた理由がわかりました。少し、これを見ていただけますか?」

私は先ほど回収した、傷付いた巣と、首のない蛹の残骸が残る巣房をご主人様にお見せした。

「うわっ……! なんですか、これ……ボロボロじゃないですか……」

「はい。実はこの巣、少し前からスズメバチの執拗な襲撃を受けていたんです。幼虫はすべて連れ去られ、巣はズタズタにされていました。生き残ったハチたちが、どうにか逃げ込んで避難していたのが、あの玄関ドアのあたりだったんです」

私の説明を聞いたご主人様は、目を見開いて絶句した。

「そんなことが……。ただ巣を作られただけだと思っていたのに、そんなドラマがあったなんて……。まさに、自然界の弱肉強食の厳しさそのものですね……」

ご主人様は言葉を失い、しみじみと巣の残骸に見入っていた。

新築が建ったその年から連続してハチに営巣されてしまったというこのお宅に対し、私は今後のための決定的な対策をお伝えすることにした。ただ駆除するだけではなく、二度とハチを寄せ付けないための「巣を作らせない予防法」の数々だ。

「なるほど! そんな風にちょっとした対策をしておくだけで、ハチが寄り付かなくなるんですね。今日から早速、家族みんなでやってみます!」

ご主人様は、先ほどまでの不安が嘘のように晴れた、安心した表情で頷いてくれた。

私がこの【家の110番】という仕事に身を投じたのは、ハチの存在に悩み、恐怖に怯える地域の人々の安全と平穏を守るためだ。それは紛れもない私の使命である。

しかし、日々の現場を重ねるうちに、私の中での想いはそれだけにとどまらなくなっていった。

私たちが適切な知識を持ち、お客様に正しい「予防法」をお伝えし、早期に対策を行うこと。それは、そこに住まう人間を守るだけでなく、今日のような過酷な弱肉強食の悲劇にハチたちが巻き込まれ、無残に命を散らすのを未然に防ぐことにも繋がっているのではないか。

人と昆虫、生きる世界は違えど、お互いが無用な争いや悲劇を回避し、自然界の中でそれぞれの命のバトンを次の世代へ繋いでいけるようにすること――それこそが、私がこの仕事を通じて果たすべきもう一つの「祈り」なのかもしれない。

私のやっていることは、広大な社会のなかではほんのちっぽけな、小さな足跡にすぎないかもしれない。

それでも、せめて私という人間が関わったすべての現場において、人と自然の双方が少しでも悲劇を回避し、穏やかな日常を取り戻せるなら、この行動が決して無駄なことであるはずがない。

「いや、無駄なものか。私にできる最善を、ただひたすらに尽くすだけだ」

私は自分自身にそう心で言い聞かせ、ピカピカの新築一戸建てをあとにした。

河内長野市の空はどこまでも高く澄み渡り、吹き抜ける風が心地よかった。今日も長い一日が始まる、誰かの不安を安心に変えるために、そして新たな命の営みと平和を守るために、私は愛車を走らせ続ける。

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