泉南市 シャッターガレージ内 アシナガバチの巣駆除

アシナガバチに営巣されたシャッターガレージ

泉南市岡田でシャッターボックス内のアシナガバチ駆除の記録です。
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目次

固定観念の死角を突く――泉南市、シャッターの裏側に隠された「盲点の要塞」を攻略せよ

第一章:たこ焼き屋を営む母と、息子の不安な眼差し

「もしもし、【家の110番】さんですか? 実は、実家のガレージでハチが飛んでいて……」

受話器の向こうから聞こえてきたのは、大阪府泉南市からかけてきた若い男性の声だった。

話を聞けば、高齢の母親が一人で暮らす敷地内にあるシャッター付きガレージの周辺で、最近やけに多くのハチが飛び交っているという。母親がガレージに近づくたびに危険を感じるものの、肝心の「巣がどこにあるのか」がどうしても見つからないらしい。

「見てもらうだけでも大丈夫でしょうか? 巣があるかどうか分からない状態でも、調査に来ていただくことは可能ですか……?」

息子様は、高齢のお母様が刺されるのではないかと心から案じていた。母親の家の一角では、かつてから手作りの温かい「たこ焼き屋さん」が営まれており、地域の人が集まる大切な場所でもある。そんな穏やかな日常のすぐ隣で、正体不明のハチの影が忍び寄っているのだ。

「巣があるかどうか分からなくても、出張調査は無料で行っておりますよ! もし仮に巣が無かったとしても費用は一切いただきませんので、どうぞご安心ください。今すぐお伺いして、徹底的に調べましょう!」

私のその即答に、息子様はホッと胸を撫で下ろしたような声色になり、「本当ですか、ありがとうございます! すぐにお願いします」と住所を告げた。

私は即座に機材と防護資材を車に積み込み、泉南市へ向けてハンドルを切った。

第二章:見えない脅威と、ファイバースコープの空振り

現場に到着すると、ガレージの前で心配そうに待機していたお母様と、連絡をくれた息子様が出迎えてくれた。

「わざわざ遠くまですみませんねぇ。ガレージは普段閉めているんですが、なぜかシャッターの隙間からハチが出入りしているんです。開けたら刺されるかと思うと怖くて……。でも、昨日ほんの少しだけシャッターを上げて、わずかな隙間から中を覗いたんですが、どこを探しても巣が見当たらないんですよ。一体どういうことなんでしょうか……」

お母様は困惑した表情で首をかしげた。

息子様からの事前情報や、現場で飛び交うハチの数と動きを見れば、このガレージの周辺に巣が存在することはほぼ確実だった。しかし、お母様が言うように内部をざっと見渡しただけでは、それらしき物体は見当たらない。

――となると、営巣場所はシャッターを巻き込んで収納する「シャッターボックス(上部の箱体)」の中である可能性が高い。

「分かりました。一度、専用の機材を使って細かく調べてみましょう。おそらく、怪しいのは上のシャッターボックスの内部ですね」

私は車から、微小な隙間を探索するための「ファイバースコープ」を取り出した。

先端にカメラと照明がついた柔軟なファイバーを、シャッターボックスのわずかな隙間へと慎重に挿入していく。手元のモニターに映し出される暗い内部の映像を、目を凝らしてくまなく探す。この暗がりのどこかに、ハチたちの拠点があるはずだ。

しかし――。

カメラを上下左右に動かし、角度を変え、あらゆる方向から何度もボックス内をしらみつぶしに確認したが、ハチの巣らしき影は一向に見当たらない。

「おかしいな……。これだけ出入りが激しいのに、ボックスの中には何もない。もしかして、本格的な営巣ではなく、新しい拠点を物色していた偵察蜂だったのだろうか……?」

結局、ファイバースコープを使った徹底的な探索は、手応えのないまま打ち切らざるを得なかった。

第三章:固定観念の死角と、「ありえない場所」の真実

シャッターボックス内に営巣は確認できず
シャッターボックス内に営巣は確認できず
シャッターの裏面に営巣されていた
シャッターの裏面に営巣されていた
巻き込まれ圧し潰されるはずが無傷なアシナガバチの巣
普通なら巻き込まれ、圧し潰されるはずが無傷なアシナガバチの巣

ボックス内が空振りとなれば、巣はガレージの内部、あるいは別のどこかに隠されているはずだ。

私は気持ちを切り替え、防護の準備を整えてから、おそるおそるシャッターを少しずつ押し上げていった。手に持った殺虫スプレーをいつでも噴射できるよう構えながら、たこ焼き用の資材や道具が所狭しと積み上げられたガレージの隅々を、足元から天井まで徹底的に捜索する。

だが、やはり息子様が言っていた通り、ガレージの内部には巣の気配すら感じられない。

「やはり、新しい営巣地を物色していただけなのだろうか……」

首を捻りながら、一通り見回したガレージから再び外へ出ようと、背中を向けて振り返ったその瞬間だった。

「――はっ! ……そこか!」

我が目を疑うような光景が、目の前に広がっていた。

巣があったのは、なんと「シャッターの裏面(室内側の面)」の、それも真ん中あたりだった。

人間の常識で考えれば、そんな場所に巣ができるはずがない。シャッターを全開に巻き上げれば、その裏面にある物はすべて上のボックス内に激しく巻き込まれ、物理的に押し潰されてしまう。だからこそ、私の頭の中には「シャッターの裏側に巣などあるはずがない」という強い固定観念があった。そんな危険な場所に好んで巣を作るハチなどいるものか、と無意識に決めつけていたのだ。

しかし、なぜそんな場所に?

頭の中でパズルのピースがカチリと音を立てて噛み合った。

「……そうか、そういうことか」

お母様が普段ガレージを開け閉めする際、シャッターを一番上まで完全に巻き上げて全開にすることはまずなかったのだろう。背丈や使い勝手を考慮し、いつも「半開きの途中」の高さで止めていたに違いない。

だからこそ、シャッターの裏面という本来なら絶対に巻き込まれるはずの場所が、開閉時も常に一定の空間を保ち、ハチたちにとって格好の「隠れ家」として機能していたのだ。

自分が普段使っている倉庫のシャッターは、いつも勢いよく一番上まで全開に上げる――そんな私自身の「ごく当たり前の日常の基準」が、そのままプロとしての視野を曇らせ、見事なまでの「固定観念の死角」を作り出していた。

このハチの予想を裏切る場所選びは、私に大きな反省と、自然界の生き物たちの適応力の凄まじさを教える貴重な学びとなった。

第四章:母たちの驚嘆と、自然の営みへの敬意

駆除後の巣跡
駆除後の巣跡
巣跡を清掃し、忌避剤を散布
巣跡を清掃し、忌避剤を散布
欠損した取っ手を養生テープで封鎖する
欠損した取っ手を養生テープで封鎖する

敵の正体が分かれば、あとは手際よく片付けるだけだ。

そこに陣取っていたのはまだ小さなアシナガバチの巣だった。私は慎重に距離を詰め、捕獲網と専用の薬剤を使って、ほんのわずかな時間で完全に駆除を完了させた。

巣の残骸を跡形もなく綺麗に清掃し、周辺にしっかりと忌避剤を散布していく。

その作業の途中、どこかへ出かけていた数匹のアシナガバチが「戻りバチ」として舞い戻ってきたが、それらも逃さず確実に捕らえて処分した。

すべての作業を無事に終え、私は母と息子の二人を呼んで、事の経緯と巣があった場所を報告した。

「お待たせしました。無事に駆除が終わりましたよ。実は……巣があったのは、ここです」

私が指し示したシャッターの裏面を見て、お母様と息子様は文字通り目を丸くして驚いた。

「ええーーっ!? そんなところに巣があったんですか……っ!?」

「シャッターの裏側なんて、開け閉めするたびに動くのに……! そりゃあ、いくら下から覗き込んでも、素人じゃ絶対に見つからないわけだ……!」

二人して顔を見合わせ、信じられないといった様子で何度も感嘆の声を漏らした。特に息子様は、「ファイバースコープでも見つからなかった謎が、まさかそんな盲点にあったなんて……プロの執念ですね」と深く納得してくれた。

無事に駆除も完了し、道具を片付け車に乗り込んで現場を後にする。

夕暮れ時の泉南の街並みを走りながら、私は今日の出来事をしみじみと振り返っていた。

「人間が勝手に思い込んでいる『常識』の枠組みなど、自然界の生き物たちの前ではいとも簡単に覆されてしまう」

ハチたちは、雨風をしのぎ、天敵から身を守り、子孫を残すために、人間が思いもよらないような知恵と隙間を見つけ出し、懸命に生き抜いている。その逞しさと、生命の偉大さには脱帽するしかない。

自分の固定観念の甘さを深く反省しつつ、同時に、どんな難解な状況であっても決して諦めずに真実を見つけ出すプロとしての誇りを胸に、私は次なる現場へと車を走らせた。

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