和歌山県 巨大プラント建設現場 ハチ駆除

巨大プラント現場
目次

海鳴りと防護服 —— 和歌山プラント建設現場、命を守るスクランブル

第一章:休息を切り裂く警報

その日の午前中、私は岸和田市の住宅街を奔走していた。軒下や庭木に居を構えたアシナガバチの駆除を2件。休む間もなく、昼からは隣の貝塚市へと車を飛ばし、今度は一転して攻撃性の高いスズメバチの巣を1件、無事に仕留めた。

時刻は午後の遅い時間。朝から水一杯飲む暇もなく動き回っていた私の胃袋は、とっくに限界を告げていた。

「ようやく、一息つけるな……」

車を停め、ようやく遅い昼休みを取ろうとシートを倒した、まさにその瞬間だった。私のスマートフォンの呼び出し音が、静まり返った車内に鋭く響き渡った。

「和歌山のプラント建設現場で作業員が一人、ハチに刺されて腫れと痛みがひどく、気分も悪いと言っています。今、救急車で運ばれました。現場は騒然として作業が止まってます。すぐに来てくれますか?」

場所は和歌山県御坊市。現在、海岸沿いで建設が進められている巨大なプラント現場だ。貝塚市から高速道路を飛ばしても、1時間半はかかる距離。私の脳内は「休憩モード」から、一瞬にして一分一秒を争う「スクランブル体制」へと切り替わった。

ゆっくりと弁当を広げる時間などない。コンビニで買い込んだ握り飯とパンを口に放り込み、お茶で無理やり流し込みながら、私は愛車のアクセルを踏み込んだ。

第二章:海岸線の青と、焦燥の赤

車窓から望む海岸線
車窓から海岸線を望む
巨大プラント現場に到着
巨大プラント現場

阪和自動車道を南へひた走る。

車窓の右側には、時折、紀伊水道の真っ青な海が広がる。本来ならば、その美しさに目を奪われ、一日の疲れを癒やすドライブになるはずの景色だ。しかし、今の私の視界には、救急車で運ばれたという作業員の容態と、作業を中断している現場の人々の顔しか浮かんでいなかった。

ハチによるアナフィラキシーショック。それは、数分で人の命を奪いかねない牙だ。一人が刺されたということは、その周囲にはまだ「見えない攻撃者」が潜んでいることを意味する。

「待っていてくれ、今行く」

ハンドルを握る手に力がこもる。握り飯の味など、もはや覚えていない。プラント建設という国家規模のプロジェクト。その巨大な歯車が、一匹の小さな昆虫によって止められている。そして何より、現場で働く人々の「安心」が根底から揺らいでいる。それを立て直すのが、私の役目だ。

一時間半の道程が、永遠のようにも感じられた。御坊ICを降り、巨大なクレーンがそびえ立つプラント現場に到着したのは、太陽が少しずつ西へ傾き始めた頃だった。

第三章:パニックの現場と、静かなる「敵」

現場のゲートをくぐると、ヘルメット姿の作業員たちが「こっちだ!こっちに来てくれ!」と、大きく手を振って私を導いた。現場の空気は重く、殺気立っている。重機のエンジン音は止まり、あちこちで不安げな話し声が響いていた。

「犯人は、仮設トイレに出たハチです」

案内されたのは、現場の隅に設置された簡易トイレだった。慎重に距離を取りつつ、双眼鏡と経験で周囲を観察する。犯人はアシナガバチ。スズメバチに比べればおとなしいと言われるが、条件が重なればその毒性は十分に人を病院へ送り込む。

しかし、何かがおかしい。

一つの巣の規模に対して、飛び交っているハチの数が多すぎる。しかも、ハチたちの航跡はトイレだけではなく、複数の方向へと分散していた。

「……巣は、一つじゃないな」

私は直感した。これは単発の事故ではない。この広大な建設現場そのものが、ハチたちにとっての「巨大な営巣地」と化している可能性が高い。第二、第三の伏兵がどこかに隠れている。それを見逃せば、明日また別の誰かが救急車に乗ることになる。

私は即座に防護服に身を固めた。真夏の熱気を孕んだ風が、厚手の生地を通して体温を奪っていく。汗が噴き出すが、構っていられない。私は「調査員」であり、同時に「狙撃手」となって、敷地内をしらみつぶしに捜索した。

第四章:言葉を超えた「弟」の願い

調査を開始しようとした時、一人の若者が私に近づいてきた。

東南アジア系の、浅黒く精悍な顔立ちをした青年だ。おそらく、海外からの技術研修生だろう。彼は懸命に覚えたであろう日本語と、必死な眼差しで私に訴えかけてきた。

「何か手伝うこと、ありますか?私、やりたい」

聞けば、彼は先ほど救急車で運ばれた作業員の弟だという。

異国の地で共に働く兄が、突然目の前で倒れ、運ばれていった。その恐怖と悲しみ、そして何もできなかった自分への悔しさが、彼の表情には張り付いていた。兄を襲った憎きハチを、自分の手で何とかしたい。その真っ直ぐな想いが、痛いほど伝わってきた。

その気持ちは、何よりも尊いものだ。しかし、私の答えは決まっていた。

「気持ちは本当に嬉しい。でも、君が怪我をしたら、お兄さんはもっと悲しむ。ここは、ハチと戦う訓練を受けた私に任せてください。君は、みんなと一緒に安全な場所へ避難して下さい。それが、今一番大事な手伝いです」

彼は一瞬、悔しそうな表情を浮かべたが、私の目を見て深く頷き、仲間たちの元へと戻っていった。

「安心しろ。お兄さんの仇は、私がきっちり取る」

私は心の中でそう誓い、危険地帯へと足を踏み入れた。

第五章:潜伏する要塞を撃破せよ

調査を進めるにつれ、事態の深刻さが露呈した。

まず、仮設トイレの足元付近と天井。そこには、最初の被害を生んだ巣がぶら下がっていた。それだけではない。ハチの動きを追って視線を走らせると、換気口付近、そして巨大な電源施設の複雑な台座の下、そこにも防衛線を張るかのように巣が隠されていた。

仮設トイレのハチの巣
仮設トイレのアシナガバチの巣
電源施設台のハチの巣
台座下に営巣したアシナガバチの巣
換気口に作られたハチの巣
換気口付近のアシナガバチの巣

さらに、資材置き場のパレットの隙間、フェンス沿いの草むら。建設中のプラントは、ハチにとって「格好の隠れ家」の宝庫なのだ。

「ここまで放置されていたとは……。一人で済んだのが奇跡だ」

もし今日、私がここに来なければ、明日には数人が同時に襲われる大惨事になっていたかもしれない。不幸中の幸いという言葉が、これほど重く響く現場も珍しかった。

私は、一つひとつの巣に対して、確実に、かつ迅速に処置を施していった。逃げ出す戻りバチも逃さない。網を振るい、スプレーを噴射し、ハチたちのネットワークを遮断していく。

そして、最後に辿り着いたのが、作業員たちが避難しているプレハブ造りの詰所だった。

窓越しに、大勢の作業員が固唾を呑んで私の作業を見守っている。その様子に違和感を覚え、窓の上部を仰ぎ見た私は、凍りついた。

詰所の窓のすぐ上。軒のわずかな隙間に、二つの巣がこれ見よがしに並んでいたのだ。

もし、中で暑さに耐えかねた誰かが窓を開けていれば、ハチの軍勢は一気に室内へなだれ込んでいただろう。

「開けるな!絶対に窓を開けるな!」

私は大声で叫びながら、大きく腕を振ってジェスチャーを送った。作業員たちが驚いて窓から離れる。その隙に、私はその二つの「爆弾」を急いで無力化した。

第六章:多言語の「ありがとう」と沈む陽

すべての巣を駆除し、戻りバチの捕獲も完了した。

調査と作業を合わせて、およそ3時間が経過していた。その間、現場のクレーンは止まり、溶接の火花も消えていたが、ようやく「安全」という名の再開への切符が手渡された。

防護服を脱ぎ捨てると、そこには絞れば水が出るほどの汗にまみれた私がいた。

現場管理責任者が駆け寄り、深々と頭を下げてくれた。

「本当に、ありがとうございました。これで明日から、安心して作業を再開できます。あなたが来てくれなければ、どうなっていたことか」

その周りには、先ほどの東南アジア系の青年を含む作業員たちが集まっていた。

「ありがとう!」「Thank you!」「Salamat!」

日本語、英語、そして彼らの母国語であろう多種多様な言語が入り混じった感謝の言葉が、プラントの金属音に代わって現場に響き渡った。

弟さんは、少し照れくさそうに、しかし誇らしげな顔で私を見ていた。兄を救えなかった無力感は、私の作業を間近で見たことで、少しだけ和らいだのかもしれない。

機材を片付け、車に積み込む頃、プラントを照らしていた強い日差しは影を潜め、空は黄金色の夕暮れに包まれていた。

結び:水平線の余韻

夕日に照らされる御坊の海

御坊の海沿いを後にする。

バックミラーに映る巨大なプラントのシルエットは、夕闇の中で再び規則正しいライトの光を灯し始めていた。

海岸線の国道に出ると、左側には地平線へと沈みゆく巨大な夕日が、海面を照らしていた。朝からの空腹も、昼休みの返上も、片道一時間半の焦燥も。その夕日を見つめていると、すべてが心地よい疲労感へと昇華されていくのが分かった。

「今日も、誰かの日常を守ることができた」

その確信こそが、私の何よりの報酬だ。

遠くで救急車のサイレンが聞こえた気がした。あのお兄さんも、きっと今頃は病院で落ち着きを取り戻しているだろう。明日、弟さんと再会し、また共にこのプラントを作り上げていくはずだ。

私は車を路肩に停め、最後の一口のパンを噛み締めた。

和歌山の冷たい夜風が、窓から入り込み、火照った体を優しく撫でる。

一日の終わりにふさわしい、静かで深い余韻。

明日もまた、誰かが待っている。私はその準備を整えるため、夕闇に染まる家路へと車を走らせた。


ハチの巣を見つけたら、【家の110番】にお任せください
「家の110番」は明朗会計。事前の無料見積もりで、追加料金は一切いただきません。
安心の14日間再営巣保証: 万が一、同じ場所に巣が戻っても無償で対応します。
対応エリア: 南大阪エリアを中心に迅速に駆けつけます。
床下、屋根裏、高所作業、難易度の高い作業もこなします。
【お問い合わせ・ご相談】 📞 090-9546-7731 📞072-468-9502 (代表:中山)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次